山口蓬春生誕120周年記念展Ⅱ
山口蓬春と吉田五十八
2014年8月22日(金)~10月19日(日)
この展覧会は終了しました。
山口蓬春記念館は、日本画家・山口蓬春(1893-1971)が昭和23年(1948)から亡くなるまでの約23年間を過ごした旧宅であり、蓬春が既存の木造2階建て家屋を自邸として購入後、画室をはじめとした増改築を建築家・吉田五十八(1894-1974)が手掛けました。
画室竣工から60年を経た今秋、本展会期中にこれまで非公開であった吉田五十八増改築部分を公開し、この機会に改めて"創造の場"としての旧山口蓬春邸の意義を捉え直します。
蓬春と五十八は、大正4年(1915)に東京美術学校(現・東京藝術大学)に入学し、ともに大正12年(1923)に卒業した同期です。五十八は、蓬春の戦前の自宅(東京・世田谷)を設計したほか、「歌舞伎座復興改築」(昭和26年[1951])、「五島美術館」(昭和35年[1960])、「新橋演舞場増築」(昭和36年[1961])、「旧明治座復興改築」(昭和33年[1958])、「国立教育会館」(昭和39年[1964])を手がけた際には、蓬春の作品が飾られ、緞帳などに蓬春のデザインが用いられるなど二人の間には芸術を通じた強い結びつきがありました。戦前、戦後と時代が大きく移り変わるなかで、蓬春は「新日本画の創造」を目指し、五十八は「数寄屋建築の近代化」に取り組むなど常に新しい時代の表現を探求し続けました。絵画と建築の違いはあるにせよ、二人はお互いに尊敬しつつ、生涯にわたる友情を育みながら同時代を駆け抜けた芸術家であり、同志であったともいえるのです。
本展では五十八が設計した東京・世田谷と葉山の画室、またそこで描かれた作品に焦点をあて、蓬春のために五十八が創造した空間で、蓬春がいかなる名作を生み出したかを展観しながら二人の交流の軌跡を辿ります。