新春展
山口蓬春 生誕110周年記念
開催期間:2003年1月7日~3月30日
この展覧会は終了しました。山口蓬春(1893-1971)は東京美術学校日本画科を卒業後、松岡映丘が率いる新興大和絵会に参加、やまと絵の伝統が強く意識された《扇面流し》を描きました。その後やまと絵という枠から抜け出したかれは、流派を超えた作家の集まりによる六潮会の活動を通じて、西欧美術の動向をいち早く採り入れ、個展に出品した《菊(秋瓶)》には西欧近代静物画への傾斜がみとめられます。
このような戦前の活動は、戦後蓬春モダニズムと形容される一連の作品に繋がり、《都波喜》に見るモダンな作風が生み出されました。昭和30年代にはよりその活動範囲を広げ、新橋演舞場緞帳《白蓮木蓮》や、古代ロマンを髣髴とさせる《宴》、清澄な詩情を湛えた《夏陰》と、蓬春芸術はより円熟した境地へと向かいます。
山口蓬春生誕110年を迎える本年、当館では新春特別展を開催し、大正、昭和にかけて伝統の継承と、時代に即した感覚の中で、新しい日本画の可能性を模索し続けた山口蓬春の50年以上に及ぶ画業を顧みます。