過去の展覧会2008の最近のブログ記事

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新春特別展
山口蓬春と花鳥画の世界ーコレクションに見るその移りかわりー
開催期間:2009年1月7日〜3月22日
この展覧会は終了しました。

このたび、山口蓬春記念館では、新春特別展「山口蓬春と花鳥画の世界-コレクションに見るその移りかわり-」を開催いたします。
花鳥画は、人物画・山水画と並んで絵画の中でも主要なジャンルの一つとして位置づけられてきました。その成り立ちは中国の六朝時代から唐時代にかけて確立して以来、各時代において様々な発展を遂げ、日本では南北朝時代に中国の南宋絵画の影響を受け、禅僧が水墨によって花鳥画を描きました。室町時代には狩野派など幕府のお抱え絵師たちによって着色による花鳥画が制作され、桃山時代には金地と濃彩による豪華絢爛たる障屏画にも描かれています。江戸時代になると琳派や南画派・円山四条派が生まれ、浮世絵に描かれた花鳥画は庶民にも親しまれました。
そして近代に入っても西欧からの影響を受けながら、遠近法や明暗表現を取り入れた新時代にふさわしい花鳥画が生まれています。そのようななかで山口蓬春は、著書の中で「日本画の古典的なものを、充分に研究しなければ、結局は新しい感性の働きで、正しく新しい素材を見出す事は出来ない。自分では、新しい素材を見つけたと思い込み、また新しい解釈をしたと思っても、実はそれは既に日本画の古典的な作品の中に、立派に取り上げられ解決されて居る場合がしばしばある」(『新日本画の技法』、1951年)と述べ、新しい絵画の創造には古典絵画を学ぶことが不可欠であると説いています。
このように花や鳥・動物などを描く行為は太古の昔から現代まで続き、そしてその多くの作例は時代を越えて人々を魅了し、後世の作家たちの創作活動の手だてにもなっているのです。
本展覧会では、蓬春の本制作と蓬春が収集した美術品のなかから特に花鳥画に焦点をあてて、その移りゆく世界をご紹介するとともに、併せて重要文化財《十二ヶ月風俗図》を特別に出品し、古典絵画の魅力に迫ります。

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初冬特別展
「山口蓬春と福田平八郎―響き合うモダニスト・カラリスト―」
開催期間:2008年10月11日〜12月23日
この展覧会は終了しました。

このたび、山口蓬春記念館では平成20年度初冬特別展「山口蓬春と福田平八郎―響き合うモダニストとカラリスト―」を開催いたします。
山口蓬春(1893-1971)と福田平八郎(1892-1974)は、それぞれ東京画壇、京都画壇を代表し、戦前から戦後にかけて日本画に新境地を拓いた作家です。活動の拠点は離れていましたが、二人には共通する時代感覚がありました。
昭和5年、二人は六潮会のメンバーとなり、その後10年間にわたって展覧会や研究会などの活動を共にしました。流派を超えた集りの中でお互いに研鑽しあうこの会は、二人にとって大いに刺激となりました。その後、画廊主催展の最盛期にあたる昭和20-30年代に、二人は兼素洞の百二会や清流会、三越の彩交会などの日本画巨匠展に出品を重ね、戦後の日本画ブームを支えました。戦前より二人の間に芽生えていた友情は、これらの活動を通じて生涯にわたって続きます。
当館には六潮会時代の合作や平八郎による蓬春宛書簡など、二人の交流を示す資料が残されています。殊に昭和7年から34年までの20通に及ぶ平八郎の書簡からは、お互いが触発されながら日本画研究を重ねていたことや、それぞれの感性に対する敬意や信頼の念を読み取ることができます。
本展ではモダニスト・カラリストと呼ばれた二人の作品と交流に焦点を当て、それぞれが生み出した清新な美をご紹介いたします。
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秋季展
「山口蓬春写生展―観たまま・感じたまま・知ったままの素描―」
開催期間:2008年8月5日〜10月5日
この展覧会は終了しました。

山口蓬春記念館では、蓬春が描き留めた素描類500点以上を所蔵しています。また昭和59年(1984)に未亡人の春子氏よって神奈川県立近代美術館へ寄贈された素描(下図を含む)1,000点以上があることを考えあわせると膨大な数の素描類を蓬春は所有していたことになります。
 日本画の制作では、画材の性質上、油彩画のように観ている対象を直接カンヴァスに描き始めることはほとんどなく、写生(素描)をもとに構図を確定してから彩色を行うという工程を辿ります。つまり写生は本制作に向けての重要な出発点ともいえるのです。特に日本画における写生について蓬春は「洋画のデッサンとは違い、寫生そのものが目的ではなく、完全なタブロウ※を作るための基礎工作である」(山口蓬春著『新日本画の技法』昭和26年)と述べているように、写生はあくまでも"目的"を内在した行為であり、描かれた素描はそれゆえに特殊な存在感をもつことになるのです。
 本展では、各年代の素描を中心に、未発表作品やスケッチブック、また神奈川県立近代美術館所蔵の台湾、中国での素描9点を含む約60点により、蓬春の写生に対する真摯な姿勢と独自の視点、そこから生まれる臨場感溢れる素描の数々を紹介いたします。
※タブロー tableau(仏) 完成された絵画作品。
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夏季展
「山口蓬春・近代日本画への歩み-蓬春モダニズムを知る-」
開催期間:2008年5月30日〜7月27日
この展覧会は終了しました。

このたび、山口蓬春記念館では、夏季展「山口蓬春・近代日本画への歩み-蓬春モダニズムを知る-」を開催いたします。
山口蓬春は大正12年(1923)に東京美術学校を卒業後、やまと絵の大家である師・松岡映丘が主宰する新興大和絵会の同人となり、伝統的な技法を学びながら優れた作品を生み出してゆきます。しかし新しい日本画の創造を目指す蓬春は、やがて独自の絵画表現を模索し、それまでにない斬新な手法の作風を発表します。特に戦後になって発表された作品にはマチス、ブラックをはじめとする近代の西洋画の作風を強く意識したと思われる表現が、画面に顕著になって表れており、その作風は「蓬春モダニズム」と形容されました。そしてこの取り組みは、後年の格調高い作風に至る蓬春の画業の中でも重要な位置を占めるものと推測できます。蓬春は著書の中で「いつの時代にも、新しい日本画の創造と言うことを心掛けて、果敢に前進しようする作家が居なければ、藝術は進展しないのである。時代や社会は常に進み動いて居るのであるから。」と述べているように、現状に甘んじることなく、常に新しい日本画の創造に取り組んでいったのです。
本展覧会では、蓬春の多岐に亘る画業の中でも、特に戦後の作品に焦点をあてて、「蓬春モダニズム」と形容された時期から後年に至るまでの過程をご紹介するとともに、あわせて季節の素描なども展示いたします。
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春季特別展
「山口蓬春・名画誕生の軌跡-本画と下図から探るその絵画の魅力-」
開催期間:2008年3月29日〜5月25日
この展覧会は終了しました。

このたび山口蓬春記念館では特別展「山口蓬春・名画誕生の軌跡―本画と下図から探るその絵画の魅力―」を開催いたします。
山口蓬春(1893-1971)は、東京美術学校西洋画科に入学するも日本画科に転科し、以後、伝統的な技法を基盤としつつ常に時代感覚を意識した新日本画の世界を創造しました。その姿勢は、戦後、より一層強く打ち出されるようになり、画業の集大成ともいえる四季の連作《春》《夏》《秋》《冬》が完成した昭和40年(1965)には文化勲章を受章しました。
本展覧会は、代表作《春》《夏》《秋》《冬》を中心に本制作と下図のほか、素描や資料写真を照らし合わせながら展示することで作品誕生までの軌跡を辿ろうとするものです。また当館には、蓬春が最後まで絵筆をとった画室が残されていることから蓬春の創作活動を偲びつつその制作過程を通じて蓬春絵画の魅力を探ります。


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