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新春展
山口蓬春素描展「四季の花鳥とともに」
開催期間:2004年1月7日~4月11日
この展覧会は終了しました。

完売となって以来再版を要望する声が絶えなかった『山口蓬春素描集』の改訂版が刊行したのを記念した展覧会といたします。
日本画の制作では、その画材の性質上、まず対象を写生し、次に小下図、大下図を作り、それから本画制作へ入るという、何段階かの過程を経て絵づくりを進めていきます。特に、日本画における写生について蓬春は、「洋画のデッサンとは違い、寫生そのものが目的ではなく、完全なタブロウを作るための基礎工作である」「寫生は、作者の觀たまま感じたまま、知ったままを、そのまま殘らずそこへ描き込んだものでなければ、完全な寫生と言うことは出來ない。-省略-寫生は自然に對して何處迄も忠實でなければならぬと言うことを意味するのである。」(山口蓬春『新日本画の技法』昭和26年より)と語っています。つまり写生(素描)は、本画制作への出発点となり、その線や色彩は、画家が最初に対象を前にしたときの感動をそのまま伝えているといえるでしょう。素描には、本画の丁寧な仕上げの段階では隠れてしまう、あるがままの画家の姿がしばしば現わされているのです。
本展では、蓬春の素描と本画を通した自然観照のまなざしを、移りゆく四季の彩りとともにご紹介いたします。
冬期特別展
山口蓬春生誕110周年記念企画 蓬春ゆかりの作家による椿絵展
開催期間:2003年11月7日~12月21日
この展覧会は終了しました。

日本人に古くから愛されてきた花"つばき"。そして、つばきは多くの日本画家を魅了してきました。山口蓬春もその内の一人で、故・はる子夫人から遺贈された作品には33点の椿のスケッチが遺されている他、葉山の自宅兼アトリエ(現・山口蓬春記念館)を囲む日本庭園には冬から新春にかけて、さまざまな種類の椿が花開きます。
この度山口蓬春記念館では、蓬春生誕110年を記念して、あいおい損害保険株式会社(旧大東京火災)所蔵の椿絵7点を中心として、蓬春とゆかりの8作家による椿絵を陳列し、その表現のヴァリエーションを鑑賞する展観を企画いたします。
椿のすがすがしい香りが漂う中、各作家の個性によって花開いた"つばき"を堪能していただければと思います。
秋季展
南嶋薄暮と素描展
開催期間:2003年9月12日~11月3日
この展覧会は終了しました。

今回展示する作品のうち《南嶋薄暮》は、昭和15年(1940)、神武天皇即位2600年を記念して開催された「紀元二千六百年奉祝美術展」に出品されたものです。珍しいコブ牛、民族衣装に身を包んだ女達、群青色の空が神秘的なその絵は台湾で取材した作品です。
その他、蓬春が東洋の各地で取材した作品や、疎開先の山形県赤湯町での素描等を中心に作風の移り変わりを追いながら展示しています。
2階座敷では、蓬春と鎌倉ゆかりの文化人たちをご紹介いたします。当時、葉山や鎌倉には、豊かな自然環境でありながら東京に近いという利便性から、多くの文化人が移り住んでいました。その中から、蓬春にゆかりの深い日本画家・鏑木清方や映画監督・小津安次郎、小説家・大佛次郎をとりあげます。特に世界的にも知られ、今年で生誕100周年を迎える小津安次郎との関わりからは、蓬春の多岐にわたる交流の一端を窺うことができます。
夏季展
山口蓬春の静物画
開催期間:2003年5月30日~6月29日
この展覧会は終了しました。


蓬春の戦後の創作は、新しい日本画への模索であったといえるでしょう。  
昭和20年代、マティスやブラックなどの西洋近代絵画の影響を思わせる色彩の平面的な表現を試みていた蓬春は、昭和30年前後から再び写実的な表現へと立ち返り、テーマを絞り込みながら多くの静物画を描いていきました。
その重要なモチーフとなるのが、常時、画室に並べられ愛でられていた器の数々です。蓬春にとっての静物画は、組み合わされたモチーフの質感の違いや造形的な面白さの追究とともに、自らが古美術品として収集し、愛した器を描くことでもありました。既に完成された造形美を備えもつそれらの品々を繰り返し描きながら、自らの作品のなかで昇華させ、新たな視点で捕らえなおすことで、時を経ても変わらぬ美を現代の私たちにも伝えています。
今回の展示では、蓬春の静物画を通じた画風の変遷とともに、そこに描かれた器をあわせてご覧頂くことで、蓬春が目指した新日本画への軌跡の一端をご理解いただければと思います。
春季展
蓬春コレクションによる書跡展
開催期間:2003年4月8日~5月25日
この展覧会は終了しました。

山口蓬春記念館では、年に5回の企画展を通じて、蓬春の作品や研鑚の跡が見られる素描等、そして蓬春が自ら蒐集した美術品を紹介しています。
この度、蓬春コレクションより書跡展を開催いたします。重要美術品でもある後柏原天皇宸翰(室町時代)や、大徳寺住持による墨蹟(江戸時代)など、時代が生んだ数々の名筆をご紹介いたします。また、二階座敷においては山口蓬春の自用印を中心とした印章を多数展示いたします。
不如帰が遊ぶ日本庭園を眺めながら、心豊かなひと時をすごしてみませんか。
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