2005年12月アーカイブ

初冬特別展
蓬春のエキゾティスムとロマンティスム
開催期間:2005年10月22日~12月23日
この展覧会は終了しました。

初め洋画を学びながらも日本画家としての道を選んだ山口蓬春(1893-1971)は、戦前から戦後にかけてのあゆみのなかで「新日本画の創造」をめざして模索を続けました。
蓬春は、遂にヨーロッパを訪れることはありませんでしたが、たびたび中国、朝鮮、台湾を訪れ、その時の取材をもとに作品を制作しました。しかしそれらの作品は、単に日本にはない異国の珍しい風景を描くのではなく、丹念な取材によって収集された情報のなかから、「今」の感覚に最も相応しいエキスを抽出し、リアルな描写力によって生み出された全く新しい情景といえます。実在しない情景でも何の不自然もなくそこに現出させる、そこに蓬春芸術根底にある一種の幻想美を見出すことができるのです。また、昭和20年代に描かれたシュールレアリスム的な作品には、フランス近代絵画を思わせるものがあり、これまでの日本画にはない表現形式による新しいフォルムと色彩構成によって幻想的な空間を創りだしています。しかし、蓬春の幻想は、感傷的なものではなく、常にヴァルールの追求と知的な画面処理という新しい感覚で日本画を捉え直した時に現われる造形上の幻想美であるといえます。
本展では、明るくスマートと評される蓬春芸術の根底にある一種の幻想美を「エキゾティスム」と「ロマンティスム」という新たな視点で読み解きます。
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